स्वधर्ममपि चावेक्ष्य न विकम्पितुमर्हसि ।
svadharmamapi cāvekṣya na vikampitumarhasi |
धर्म्याद्धि युद्धाच्छ्रेयोऽन्यत् क्षत्रियस्य न विद्यते ॥२.३१॥
dharmyāddhi yuddhācchreyo'nyat kṣatriyasya na vidyate ||2.31||
そしてまた、自身の義務という観点からも、あなたは迷うべきではありません
なぜならクシャットリヤにとって、正義の戦いほど偉大なものはないのですから[31]
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クリシュナは絶対的な観点から離れ、何が適切で為されるべきか?という相対的な観点を取り上げます。
「家族が持つ役割を滅ぼした人々は、地獄に住むと私達は聞いてきました」
第1章44節の、アルジュナのダルマに関する多数の発言から、当然の成り行きです。
クリシュナは、一般的に良しとされる事だけでなく、ダルマの観点からも論じます。
スヴァ・ダルマの観点[アヴェークシャ]から状況を見ても、迷い、躊躇うことは相応しくない[na vikampitumarhasi]と、ここで再び言われます。
アルジュナは兵士[クシャットリヤ]で、王位を継ぐ王子で、ダルマを守る事を期待されていました。
アルジュナの義務は、法と秩序を保ち、王家を統治し守ることが、彼のダルマでした。
従弟ドゥルヨーダナが王位を占領してきた事は、違法な行為[アダルマ]でした。
アルジュナはクシャットリヤですから、ダルマの観点から、迷ったり、躊躇するべきではありません。
◎アルジュナの義務
兵士は、平和な時も「万が一に備える」為、知力を保つ為にも、絶え間なく訓練します。
戦争がない事は、幸運ですが、培ってきた技術は使用されず終わります。
戦う理由がないなら、もちろん戦いませんが、戦士が、技術を道理に基づき使う機会があるなら、これ程良い機会はありません。
アルジュナにとって、道理にかなった機会でした[ダルマート アナペータム ダルミャム]。
ダルマに反せず、純粋にダルマに従うアルジュナを、戦いに連れ込んだ人は成敗されるに値します。
ここでダルマ・ユッダは、ダルマを確立する事でした。
ダルマを脅かし、王国を占領した人は成敗されるに値します。
「今こそあなたが、武器と技術を披露する時、そうする事があなたの義務です」とクリシュナがアルジュナに言ったも同然でした。
アルジュナは、誰かを滅ぼすし、勇敢さを披露する為でなく、ダルマを守る為、これらを訓練してきたのですから、今こそ好機でした。
この様に、何が成されるべきかというダルマの観点からも、悲しみや、躊躇の余地など全くありません。
これが、クリシュナの言う1つの議論でした。
もう1つの議論は、クシャットリヤにとって、特にアルジュナが成すべき、これ程相応しい事はありませんでした。
「アルジュナよ、この戦いは、あなたが成すべきことです!」
と、クリシュナは言いました。