
यततो ह्य् अपि कौन्तेय पुरुषस्य विपश्चितः।
इन्द्रियाणि प्रमाथीनि हरन्ति प्रसभं मनः॥२.६०
yatato hy api kaunteya puruṣasya vipaścitaḥ।
indriyāṇi pramāthīni haranti prasabhaṃ manaḥ॥2.60
おお!アルジュナ。なぜなら、たとえ努力をしてきていて、はっきりと見ている人ですら、その強力な感覚器官は、力ずくで考えをつれ去ってしまいます。
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自由とは、自らの感覚器官や考えが自分の支配下にある状態を指します。
逆に、対象や感情にコントロールされている状態は「他者の支配」であり、そこには自由がありません。
ヴィヴェーキーは、決して何もしない怠惰な人ではなく、知識を揺るぎないものにするために、努力[yatataḥ]を重ねる人です。
しかし、どれほど明晰な識別力を持つ人であっても、内側にラサが残っている限り、感覚器官は非常に強力な力[prasabha]で考えを強引に連れ去ってしまいます。
ラサが識別力を奪い、気づいたときには手玉に取られているという事態は、誰にでも起こり得る「よく知られた事実」です。
この強力な感覚器官の揺さぶりに対する唯一の方法は、知識にしっかりとした定着することなのです。
