
धूमेनाव्रियते वह्निर्यथादर्शो मलेन च ।
dhūmenāvriyate vahniryathādarśo malena ca |
यथोल्बेनावृतो गर्भस्तथा तेनेदमावृतम् ॥३.३८॥
yatholbenāvṛto garbhastathā tenedamāvṛtam ||3.38||
ちょうど、火が煙によって隠されるように、鏡が埃によって覆われるように、胎児が子宮によって隠されるように、そのように、知識は願望によって隠されます
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火が自ら光を放つ存在でありながら、自身の煙によって隠されてしまうように、人間が持つ「識別[viveka]」も、思考から生じる「カーマ(欲望[kāma]」によって覆い隠されてしまいます。
1. 「なすべきこと・なすべきでないこと[dharma-adharma]」の識別。
2. 「真実と真実でないもの [ātma-anātmā]」の識別。
これら2つの知識は人生の指針となりますが、欲望が強まると知性は完全に覆われ、機能しなくなります。
3つの比喩
煙に隠れた火: 存在はわかるが、直接見ることができない。
埃のついた鏡: 覗き込むことはできるが、鮮明に映らない。
子宮内の胎児: 存在は確かながら、まだ外の世界(日の光)に出ていない。
このように、本来は自明であるはずの「正しい知識」も、欲望という膜によって遮られ、私たちを導く力を失ってしまうのです。
◎単純なヴィヴェーカが多くの願望を落とす
クリシュナが「煙」「埃」「子宮」という3つの異なる例えを用いたのは、欲望の性質や克服に必要な努力の度合いが異なるからです。
1. 煙に覆われた火
これは、 一時的な気まぐれや空想です。
「本当に必要か?」という少しの問いかけ[vicara]だけで、煙を払うように簡単に消し去ることができます。
百貨店で商品を眺めても買わずに通り過ぎるような、軽い自制の段階です。
2. 埃に覆われた鏡
これは、問いかけだけでは不十分な、より強い執着です。
鏡を息を吹きかける(知識)だけでなく、湿った布で拭くような「強い意志(NOと言う力)」と「具体的な努力」が必要です。
時には誘惑を断ち切るために自分自身へ向けて力強く宣言するエネルギーを要します。
3. 子宮に包まれた胎児
これは、根深く、一朝一夕には解決できない欲望や習慣です。
子宮の中の赤ちゃんの成長に月日が必要なように、「時間[kāra]」と「忍耐」が必要です。
無理に急げば「流産(逆効果)」を招くため、自己を理解し、成熟するのを待つプロセスが不可欠です。
私たちの識別[vivkeka]を隠す欲望には段階があります。
それらに対し、「思慮」「意志」「時間」を適切に使い分けることで、隠されていた真実の知識を再び輝かせることができるのです。
